ステーブルコイン
はじめに
ステーブルコインとは、価格の安定性を実現するように設計された仮想通貨のことです。
仮想通貨は価格変動が激しいために、決済手段としての活用が中々進んでいません。
そんな仮想通貨の普及を促し、実用性を高めるために設計されたものがステーブルコインです。
日常の決済手段の一つとしてや、リスクヘッジ資産としての利用など幅広い需要があるため注目度は高まっています。
ステーブルコインの種類
ステーブルコインは価格を安定させるために設計されたものであると先に述べましたが、価格を安定させる仕組みの違いから主に4つの種類に分けられます。
法定通貨担保型
米ドルや日本円などの法定通貨を担保にコインを発行し、その法定通貨との交換比率を固定する「法定通貨担保型」があります。
例えば、100万円を担保として保管しておき、100万円分のステーブルコインを発行します。
「そんな紛らわしいことをしないで普通に100万円使えば良くね?」と思うかも知れませんが、ステーブルコインはブロックチェーン技術を用いられているので他の仮想通貨へのアクセス権となります(逆も然り)。
そして、安定した価値の根拠が法定通貨を担保としていることなので、安心して利用することができるというような仕組みです。
弱点としては、担保している法定通貨の価値が毀損してしまったり、発行体の運営リスクが発生巣ると価値が保てなくなる可能性があります。
仮想通貨担保型
仮想通貨担保型とは、ビットコインなどの仮想通貨を担保として発行することです。
「仮想通貨は価格変動(ボラティリティ)が大きいからステーブルコインの担保には不向きでは?」と思った方、まさにその通りです。
仮想通貨は値動きが激しいため、ステーブルコインの保証力という観点で言うと、法定通貨担保型に比べるとまだまだ弱いです。
そして、どの仮想通貨を担保にするのかという問題もあります。
仮想通貨担保型でどのように価格を安定させているかという一例ですが、100万円のステーブルコインを発行するために300万円分のビットコインを裏付け資産として担保するというような方法があります。
このケースではビットコインの価格が上昇すれば担保としてはより安心できる反面、ビットコインの価値が担保分よりも下落してしまうとステーブルコインの価値を保てなくなる可能性があります。
コモディティ型
金や原油などの現物の商品を担保にしたものとして、コモディティ型があります。
金を中心に現物資産はリスク回避が求められる状況で投資される傾向があります。
反対に、一般的な暗号資産の値動きと比べると逆の値動きになりやすい部分もあります。
戦争時や経済不安などの有事の際にはリスクヘッジに利用することが可能ですが、法定通貨担保型に比べると値動きが大きい特徴があります。
現物の金などの商品を購入するよりも簡単で手数料も少ない反面、コモディティ型の発行体の信用を見極める必要があります。
無担保型
発行会社がアルゴリズムを用いて価格を安定化させる仕組みを取る無担保型があります。
状況に応じて通貨の供給量を調整することで、価格の安定性を計ることができるとされています。
無担保型は社会実験の途中段階であり、担保型のステーブルコインに比べると現状での保証力は弱い反面、担保に依存することがなく価値を安定させることができる可能性があるものとして期待されています。
しかしながら、この仕組みを採用したステーブルコインがアルゴリズムの脆弱性により大暴落するケースは散見されます。
担保を提供せずに「すごい絶対安心のアルゴリズムを組んだ!」と宣伝して誰でも発行できてしまうので、まだまだ多くの信用面での課題が残っていると言えます。
まとめ
ステーブルコインには主に以上の種類がありますが、いかがでしたでしょうか?
現実通貨と仮想通貨の橋渡しができるので、安定した価値が実現できる法定通貨担保型のステーブルコインの需要はとても高いものとなっています。
国家が発行管理する、より信頼性の高いステーブルコインとしてCBDCというものも各国発行を検討している段階で、ステーブルコインに対しての注目度は高いと言えるでしょう。
反面、ステーブルコインは発行体がいる中央集権的な仕組みであったり、裏付け資産としての法定通貨も国家が保証しているものです。
ステーブルコインがこのような中央集権的な仕組みとどのように今後向き合っていくか、注目していきたいところです。