ポンジスキームの仕組みと注意点
はじめに
ポンジスキームは、投資詐欺の一形態のことです。
魅力的な利益を約束しながら新たな投資家からの資金を使って過去の投資家に利益を支払うという仕組みとなっています。
これだけの説明だと中々理解しづらいと思うので、歴史や具体例を用いてポンジスキームの仕組みと注意点について、初心者にもわかりやすく解説していきます。
ポンジスキームの歴史
ポンジスキームは、20世紀初頭にイタリア系アメリカ人の実業家であるチャールズ・ポンジ(Charles Ponzi)によって始められましたが、彼の詐欺的な投資計画がポンジスキームとして広く知られるようになりました。
1人の人間が計画した詐欺にその人物の名前が冠されるというのは凄いことですね。
それくらいポンジスキームには普遍性があってヤバい手法ということです。
チャールズ・ポンジは、1920年代初頭にボストンで投資詐欺を行いました。
彼は国際郵便返送証券(International Reply Coupon)を利用した投資機会を提供し、非常に高い利益を約束しました。
具体的には、国際郵便返送証券を安く購入し、他の国で高く売ることによって利益を上げると主張しました。
ポンジのシステムは最初、一部の投資家に実際に利益を支払うことで信頼を勝ち取り、この成功により、多くの新たな投資家が彼の詐欺的なスキームに資金を提供しました。
彼は新たな投資家からの資金を使って過去の投資家に利益を支払い続けました。
しかし、ポンジスキームの持続性は保証されていませんでした。
資金の流入が途絶えると、利益の支払いが破綻し、スキームが崩壊する可能性が高まります。
ポンジのスキームも例外ではありませんでした。
1920年、ポンジの詐欺が明るみに出て、彼は逮捕されました。
その後、ポンジスキームは彼の名前に由来して呼ばれるようになりました。
ポンジ自身は詐欺罪で有罪判決を受け、懲役を宣告されました。
ポンジの詐欺事件以降、類似のスキームが世界中で発覚しました。
投資家に高い利益を約束しながら、新たな投資家からの資金で過去の投資家に利益を支払うという手法は、ポンジスキームとして広く知られるようになりました。
ポンジスキームはその後も繰り返され、数多くの被害者を出してきましたが、現在でも多くの被害者を出し続けています。
ポンジスキームの仕組み
ポンジスキームは、詐欺師が高い利益を投資家に約束し、新たな投資家からの資金を集めます。
詐欺師は、投資家に対して実際には行っていないか、または非効率な投資を行っていると主張します。
しかし、実際には新たな投資家からの資金が使われ、それを元に過去の投資家に高い利益が支払われるのです。
この過程は、利益を得たと思わせるために、最初のいくつかの投資家には実際に利益が支払われることで始まります。
これにより、詐欺師は信頼を築き、他の投資家からも資金を集めることができます。
しかし、この利益は新たな投資家からの資金に依存しており、新たな投資家が増えなければ破綻する可能性が高い仕組みです。
ポンジスキームの注意点
ポンジスキームにはいくつかの注意点がありますので、以下にそれをまとめました。
1.高い利益の約束
ポンジスキームは、通常、非現実的な高い利益を約束します。投資にはリスクがつきものであり、一般的に高い利益は高いリスクを伴います。常識的な利益を超える約束には警戒が必要です。
2.継続的な利益支払い
ポンジスキームは、最初の投資家に利益を支払うことで信頼を築きます。
しかし、この利益は新たな投資家からの資金に依存しています。
資金の流入が途絶えると、利益の支払いが困難になり、システムが壊れる可能性が高まります。
持続的な利益支払いが維持される限り、ポンジスキームは続くでしょうが、その持続性は保証されていません。
3.不透明な運用方法
ポンジスキームは、通常、詳細な投資戦略や資金の運用方法を明示しません。
詐欺師が資金をどのように使っているのか、投資が実際に行われているのかが不明瞭です。信頼できる投資は、その運用方法が透明に開示されているものです。
4.ピラミッド構造
ポンジスキームはしばしばピラミッド構造を持っています。
最初の投資家からの資金が新たな投資家に分配される仕組みです。
このため、投資家が増えない限り、古い投資家に対する利益支払いが続けられません。
ピラミッド構造は持続不可能であり、最終的に崩壊します。
ポンジスキームの具体例
例えば、仮想通貨投資会社A社がポンジスキームを行っているとします。
1.A社は投資家に高い利益を約束し、新たな投資家からの資金を集める
↓
2.最初の投資家であるBさんがA社に10万ドルを投資
↓
3.A社はBさんに毎月10%の利益を支払う
↓
4.これにより、Bさんは最初の数ヶ月で利益を得て満足
↓
5.その後、Cさんという新たな投資家がA社に50万ドルを投資
↓
6.A社はCさんからの資金を使って、Bさんに利益を支払います。
↓
7.Bさんは利益を受け取り、さらに利益が出ていると感じます。
↓
8.以上の流れをループ
このように、A社は新たな投資家からの資金を使って過去の投資家に利益を支払い続けまが、利益が出ていると思われるため、A社への投資に対する信頼が高まります。
しかし、A社は実際には投資を行っていないか、または非効率な投資を行っている可能性があります。
新たな投資家からの資金に依存して利益を支払っているため、新規の投資家が増えない場合や資金の流入が途絶えた場合、A社は利益の支払いが困難になり、システムが崩壊する恐れがあります。
このような具体例を通じて、ポンジスキームがどのように機能し、新たな投資家からの資金に依存して利益を支払っていることが理解できるでしょう。
ポンジスキームは一時的に利益をもたらすかのように見せかけますが、持続可能ではなく、最終的には投資家が損失を被る結果となります。
まとめ
説明してきたように、ポンジスキームとは魅力的な利益を約束し、新たな投資家からの資金を使って過去の投資家に利益を支払う仕組みのことです。
しかし、その利益は新たな投資家に依存しており、持続性は保証されていません。
ポンジスキームに関与することは、重大なリスクを伴います。
投資においては、常識的な利益や透明な運用方法を持つ信頼できる投資機会を選ぶことが重要なのはもちろんのこと、急激な利益を約束する投資には警戒し、詳細な情報と慎重な分析を行うことをおすすめします。
安全な投資環境を築くためには、投資家自身が情報を得て知識を深めることが重要です。
投資においては、信頼性のある専門家や公的な機関の助言を受けることも有益です。
詐欺に巻き込まれないためには、慎重さとリスク管理が不可欠です。
「ここだけの話、絶対に儲かる話があるんだけど」というものは全てポンジスキームだと判断しましょう。