トリレンマ
トリレンマは、3つの相反する要素や選択肢の中からどれか2つしか達成できないジレンマのことを指します。
ちなみに、トリ(tri)は「3つ」を意味し、レンマ(lemma)は「前提」や「論題」を意味します。
それらを踏まえ、仮想通貨におけるトリレンマとは以下の3つの要素からなる現象のことです。
1.スケーラビリティ(拡張性)
システムが大量のトランザクションを処理する能力を指します。
スケーラビリティが不十分な場合はネットワークは過負荷になり、処理速度が遅くなったり手数料が高くなったりする可能性があります。
2.ディセントラリゼーション(分散性)
ネットワーク上の参加者が均等に分散され、中央集権的な機関や個人に依存しないことを指します。
分散性が高いほどネットワークはより安全で信頼性がありますが、スケーラビリティの問題が生じる可能性があります。
3.セキュリティ(安全性)
ネットワークやユーザーの資産を保護するための安全対策を指します。
セキュリティは非常に重要であり、ハッキングや不正な活動からの保護が求められます。
Bitcoinでトリレンマについて考えてみましょう。
Bitcoinは分散性を重視する代表的な仮想通貨です。
ネットワーク上の参加者がトランザクションの承認と記録を行い、中央集権的な機関や個人に依存しないことが重要視されています。
これにより、Bitcoinは分散型の仮想通貨として高いセキュリティと信頼性を提供しています。
しかし、スケーラビリティに課題があります。
Bitcoinのブロックチェーンは、新しいブロックが10分ごとに追加されるという制約があります。
これにより単位時間あたりに処理できるトランザクション数が制限され、大量のトランザクションが発生すると処理に時間がかかったり、手数料が高騰したりする可能性があります。
この場合、Bitcoinのスケーラビリティを向上させるためには、ブロックサイズを拡大することが一つの解決策となります。
しかし、ブロックサイズの拡大はブロックチェーンのサイズを増加させ、ネットワーク上のノードが扱うデータ量も増えるため、ネットワークの分散性に制約をもたらす可能性があります。
また、ブロックサイズの拡大に伴いトランザクションの承認にかかる時間が短縮されるため、ネットワークのセキュリティにも影響を及ぼす可能性があります。
このように、スケーラビリティを向上させるためには、分散性を犠牲にしてしまう可能性があります。
逆に分散性を高めるためには、スケーラビリティに制限が生じる場合があります。
あっちとあっちを立てればこちらが立たず的な状況です。
このようなトリレンマはトレードオフどのように考慮してバランスを見つけていくかが大切となります。